日本の常識、世界の非常識。日本のVCが投資先を時価評価しない理由とは!?

近頃では日本のVCも、100億200億と数百億円のファンドを組成するニュースも珍しくなくなりました。entrepediaによれば2016年の設立ファンド総額は3,000億円を超えているとのことです。

さてそんな活況を呈するVC業界ですが、資金規模とはウラハラに、制度面ではまだまだグローバルスタンダードとは乖離した部分がたくさんあるといわれています。

今回はその一つ、日本VCの投資先評価についてご紹介します。

日本のVCは投資先を時価評価しない!?

ほとんどの日本のVCは、投資先の評価をマークダウンするけどマークアップはしないと言われています。減損評価はするけど、アップサイドは評価しないということですね。
一方、欧米ではIPEVガイドラインというものも存在し、当然のように公正価値評価が行われています。このような時価評価がなぜ日本では一般的でないのでしょうか?

日本のVCが時価評価をしない4つの理由

■1:保守主義の慣習
現行の会計基準では、時価が取得価額を上回っていても、評価益を計上しないことが可能です。
「投資の評価方法」として「市場性のない有価証券」の評価増を計上しないと定めているVCが多いです。「直近ファイナンス価格」で評価する、としている場合でも、異なるラウンドであれば評価しないとしていたりで、実際にはほとんど評価されていないという保守主義的な状況になっています。

■2:金融機関・事業会社の子会社VCが多かった
日本のVCは昔は銀行・証券や事業会社の子会社として設立されたものがほとんどという歴史がありました。(今でもたくさんありますが、独立系VCも増えてきています。)そのため、パフォーマンスの最大化よりも、親会社の目的が重視されるケースが多かったといわれます。金融機関であれば自社サービスの拡充や主幹事の獲得、事業会社であれば事業開発や研究開発など。

■3:LPに機関投資家がいない
子会社VCのLPはほとんどの場合親会社のみですが、独立系のVCといってもLPは事業会社であるケースが多いです。
こうしたLPの狙いはマーケットの情報収集や事業シナジーであることが多く、金銭的なパフォーマンスは二の次になりがち。
そのため機関投資家LPであれば当然に求めるIRRやTVPIといったパフォーマンス評価、およびその元となる個社の時価評価が浸透していないというわけです。

■4:体制が追い付いていない
時価評価といってもその手法は奥が深いものです。単純に直近ファイナンスの株価をかければよいというわけでもなく、様々なアプローチが必要なため、機械的な減損処理だけを行うことに比べて知識や工数、また取得する情報の粒度も変わってきます。小規模なVCではなかなか難しいですし、アドミニストレーターを外出しする慣習がないということもあります。

おわりに

いかがでしたか。日本のVC業界はかつてないほどの盛り上がりを見せていますが、制度面で米国に追い付いていない部分があるのも事実です。この先よりVC業界が発展していくためには、機関投資家からの資金調達は避けられず、だからこそ胸をはって資金調達ができるよう制度面も整備していく必要がありそうですね。

【参考リンク】
アントレペディア~スタートアップの資金調達動向
IPEVガイドライン
平成 28 年度グローバル・ベンチャー・エコシステム連携強化事業

Pocket

, ,

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です