マックス20%?VCがストラテジックインベスターのシェア増加を嫌がる3つの理由

emergency-exit-696656_1920盛り上がるスタートアップ投資、おのずとその株主の顔ぶれもひろがりますね。いわゆるVC以外に、ストラテジックインベスターといわれる事業会社による投資も盛んです。

もちろん株主構成はスタートアップによってさまざまですが、VC投資が発達した米国において、ストラテジックインベスターが30%、40%と高いシェアをもつことはあまり一般的ではありません。VCなどのいわゆるファイナンシャルインベスターがそれを嫌うのもその理由の一つ。ストラテジックインベスターが資本参加する場合、VCは自身の保有株をすべて買ってくれることを望むか、マイナーにとどまってもらうか、を望みます。

そこで今回は、VCがストラテジックインベスターのシェア増加を望まない理由について考えてみたいと思います。

ストラテジックインベスターのシェア増加が歓迎されない3つの理由

■1: VCのイグジットを阻害する
VCの最終目的は、あくまでキャッシュリターンを得ること。ExitしたいときにExitできることはVCにとって非常に重要なポイントです。

ストラテジックインベスターのシェアが増加すると、多くの場合それに合わせてボードシート(ボードの議決権比率)も増加します。スタートアップの会社の方向性はボードで決議されますので、ストラテジックインベスターがボードシェアを高めることは、VCにとって自分たちの意思決定を阻害する要因になりかねません。

そのため、契約上でストラテジックインベスターが一定以上のシェアを買いあがれないような条項をいれることもあります。

■2: 戦略が濁る
ストラテジックインベスターはファイナンシャルリターン以外の事業的な目的があって投資をするもの。ときにVCの考える優先順位と異なる方向に事業をもっていきたい思惑が働きます。例えば、VCからするとまだグローバルエクスパンジョンするステージではないのに、事業シナジーの観点でそれを推し進めてみたり。

将来的に企業価値が増加する点で他VC投資家と戦略が一致すれば問題ないですが、必ずしもそうとは限りません。

■3: 他のストラテジックインベスターの買収意欲が低下する
VCにとって、M&A、すなわち、他社への売却は大きなExit機会の一つ。通常、スタートアップの事業を成長させつつ、IPOとM&Aの両にらみでExitの機会をうかがっています。

ある意味自身のハードルレートを超えていればExit手法はなんでもいいわけです。このことは、買い手からすれば金額さえ折り合えば比較的交渉がしやすいということになります。

ところが、ストラテジックインベスターがある程度のシェアをもっていると、金額のみでは折り合いがつかなかったり、すでに事業面でそのストラテジック会社の色がついていたりすることもあります。

そのため、株主がVCだけの場合に比べて、買い手の買収意欲が低下することにもつながり、Exitの機会損失につながることも考えられます。

マイナーの次は100%買収か?

このように、ストラテジックインベスターの参加は事業を加速させる側面もないことはないですが、VCにとっては必ずしも歓迎されるわけではありません。特に50%や60%などの、メジャーのシェアを取られると、VCとしてより身動きがとれなくなってしまうため、VCは基本的にそれをよしとしません。

ストラテジックインベスターによるマイナー投資の次は、中途半端な買い上がりよりも、100%買収がメジャーシナリオになります。

おわりに

いかがでしたか。ただでさえ、スタートアップにおいて投資家と創業者のコンフリクトはつきもの。おまけに性格の異なる投資家が複数存在する場合はその構造もより複雑になります。事業上の特別なメリットがない限り、事業会社の投資は1回での100%買収がスムーズかもしれませんね。

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